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山崎俊夫作品集 全五巻完結!
著者肖像 | 函と帯 |
過ぎたるデカダン、過ぎたる耽美、過ぎたる倒錯の故に、日本近代文学史から放廃・抹殺された、幻の鬼才・山崎俊夫。半世紀余の歳月を経て、今ここに初めて甦る蠱惑の作品集。
編集/生田耕作(補巻二を除く) A5判 上製本 函入
■補巻二 小説集
夜の髪 ― 初版450部 ―
こは稚(ワカ)き少年の心の臓より躍り出(イデ)し夢の歌。こは沈香伽羅よりも匂はしく白檀よりも馨(カグハ)しき怪しげなる匂い袋のなかに秘められし銀泥の如き嫋(ナヨヨ)かなる幻の歌。そのあまりに感傷的なる言葉をな咎めたまひそ。―― 著者「伽羅歌草紙」より
新発見の小説四編をふくむ、著者黄金期のデカダンスの香り高い小説六編に加え、少年期の苦悩を経て倒錯の世界を高らかに謳い上げた《作家山崎俊夫》誕生を告げる記念碑的異端宣言ともいうべき未発表作品七編と短歌を収録。著者自筆の伝記風年譜を付して最終巻をおくる。
目次 アブサロムの首/夜の髪/弓の歌/花の雨/忘却/お三輪の人形/星狂人/倶楽部より/躓いた少年の手紙/伽羅歌草紙・銀泥の巻/小姓白菊の事/俊夫とヴェルレイヌ/異端の族/短歌/自叙伝風年譜
定価〔7500円+税〕
■上巻 小説集
美 童
大正五年頃、山崎俊夫という、「三田文学」「帝国文学」「雄弁」「秀才文壇などに創作を発表していた作家の『童貞』と題した小説集が、小川四方堂から出ている。これは、少年側のデリケートな心理を取上げたもので、童貞、夜の鳥、夕化粧、鬱金桜、きさらぎ、ねがひ、死顔の七篇が収録され、(中略)「悉く衆道情緒を以て書かれたる作品にて、稀有の小説集なるべし」との折紙がついている。―― 稲垣足穂『少年愛の美学』
目次 夕化粧/鬱金桜/きさらぎ/童貞/夜の鳥/耶蘇降誕祭前夜/さみだれ草子/ボヘミアン/異人屋敷/死顔
定価〔6796円+税〕
■中巻 小説集
神経花瓶
山崎俊夫の作品について詳しく論じている余裕はないが、わが鏡花と、荷風と、江戸歌舞伎と、そして西欧世紀末文学とを混ぜ合わせ、これを天草切支丹天主堂の地下倉に貯えて醸造した摩訶不思議の美酒……とでもたとえようか。まさしく近代日本が産んだ、世界に類を見ない独特の文学世界といってよいであろう。―― 生田耕作
目次 雛僧/伽羅小袖/志羅川夜舟/麝香猫/指を磨く男/中州夜話―幻覚/ねがひ/蛇屋横町/河原者/宝石商人/幸福
定価〔6500円+税〕
■下巻 小説集
玉虫秘伝
まだ二十を過ぎたばかりの山崎俊夫氏は文壇に於ける私の唯一のひいき作者である……氏は若いなりにも最も特殊なる世界を持つて居る、氏の世界は妖艶なる蛾のやうな気分を湛へた世界である、鬱金桜の世界である、歌舞伎若衆切支丹伴天連の世界である。ホモエロチックの世界である、幻想の世界である。私も亦異常の世界を恋ふる一人である、二二が五の世界、午後十三時の世界、二月三十日の世界を求めて止まぬ巡礼の一人である。同旅者の一人として私は氏の芸術を極愛して足らざるを恐れて居る。―― 菊池寛
目次 ぷらんたんの一夜/執念/玉虫秘伝/あられ小紋/母恋し/執念の白小袖/巣 評論・随筆篇 初期作品
定価〔6800円+税〕
■補巻一 随筆集
古き手帖より
「氏の有する繊細なる特種の感情は氏の芸術に独特の気分を与へ、その作品はわれ等を導いて全然未知の不可思議世界を探らしめる」と、文豪永井荷風をして賛嘆せしめた山崎俊夫。恩師永井荷風、小山内薫等への限りなき哀惜。水上瀧太郎、松本泰、菊池寛等、同世代作家との交友と離別。小説「耶蘇降誕祭前夜」のモデル李宝鏡の素顔。六代目中村歌右衛門、十世竹沢彌七の少年時代とその秘話など、珠玉の随筆を通して、〈少年愛〉をテーマに特異な作品を残した幻のデカダン作家の内面がいま語られる。
目次 菊池寛兄におくる手紙/荷風挽歌/古き手帖より/男のアクセサリ/先斗町にふる雪/芸阿呆/燭台綺談他
定価〔7500円+税〕
※「アラステア画集」「ロップス画集」「太陽肛門」「バイロス画集」「レオノール・フィニーの仮面」
「初稿眼球譚」は品切となりました。