東坡先生詩(03の149)(26138)
- 商品説明
- 二十五巻(欠巻四~九・二十三~二十五)文明十三年・十四年写 和大五冊 宋・蘇軾の詩は我が国では中世・近世を通じて二十五巻本『王状元集註分類東坡先生詩』(宋元明版、五山版、古活字版、整版)で読まれた。掲出書はその王十朋註本から註を省いた正文のみの古写本。いかにも禅林の学僧が手ずから書写した趣きの感じられる善本だが、全八冊の内、第二・第三・第八冊を欠き、また虫損が甚だしい。書写の経緯は第一冊初めの墨筆識語に詳しい。「旧本□九百九十二丁也。詩一千四百七十二首也。文明十三年辛丑林鐘廿六日相国寺於鹿苑院之衣鉢閣初書之。次之壬寅仲春十又八日嵯峨鹿王院北窓下而書之了。次之癸卯季春於北山之鹿苑寺、江西之点以人之所称之本写之。后覧直過惟幸。文明癸卯孟夏下旬誌焉。輝子」。これによれば、この本は輝子なる人物が文明十三(1481)年六月相国寺鹿苑院で、また十四年二月嵯峨の鹿王院で本文を書写し、さらに十五年三月北山鹿苑寺(金閣)で江西龍派の点本と称する本によって訓点を書き加えたものであることが知られる。江西龍派は室町前期を代表する学僧で、建仁寺百五十四世。彼には『天馬玉津沫』と題する蘇軾詩集の抄物があった。この本に付された訓点の資料的価値のほどが自ずと知られよう。『東坡先生詩』の写本は極めて稀少で、他に大東急記念文庫蔵本くらいしか見当たらない。青龍寺(所在地不明)旧蔵。各冊巻頭に「青龍堂」、「三栗蔵」の朱印が捺される。縹色表紙、26.2×26.220.5糎。内題「東坡先生詩巻之幾」。無界。字面高さ、23.0糎。毎半葉十四行、行十八字。墨筆の返点・傍仮名、朱筆の竪点が見られる。
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